メモタルト

ブロマガ終わっちゃったから襲名

【共有】動画制作における「ターゲッティング」

中島義明『映像心理学の理論』(有斐閣、2011)に興味深いことが書いてあったので共有します。

映像視聴者は大きく二元論者-多元論者-相対論者というふうに認識スタイルが複数に分かれるそうです。

二元論者とは、知識を「良い、悪い」「正しい、間違い」といった両義的なものに帰着し、全ての問いに正解があり、権威者はそれを知っている、という考えを持つ人です。

二元論者は大学新入生以下の年齢の人に多いそうです。大学に入るまでは基本的に答えが明確な問いしか出ないからですね。

多元論者は大学での学習を通じるなどして、「正解のない問いもある」ということに気付き、知識は正しくも間違ってもいないという考えを持つようになった人です。

更に相対論者はeither-or型の知識カテゴリを捨て、文脈的・相互依存的なものとして知識を定義し、絶対的真実と権威者を結び付けない人です。

確かに若い時ほど正解を求めがちなところありますよね(いや僕もまだ未熟なのでそうした節あるんですが…)。

でこれがどう映像に関係するのかというと、ストーリーや流れのある映像がどのくらい「理解される」か、これに関わるそうです。

様々なシーンを非連続に表示する映像を見せた時、二元論者はそれぞれのシーンに目を奪われ、全体が理解できません。一方で相対論者は理解しやすく、メリハリ良く楽しむことができます。

逆にそうした非連続性を消すオーバーラップを用いると、二元論者にも理解しやすい一方で、相対論者には単調でつまらなく思えてしまいます。

僕がこれ確かにな~と感じたのは"ボカロPVの解釈記事"です。ボカロ曲の解釈を単語単位で試みる記事はどうにも的外れなものに見えます。

で結局何が言いたいかというと、どの層に向けたいかによって、表現方法を変えるよう意識することが重要、ということです。

僕は音MADの畑の人間なので音MADの話になりますが、ストーリーものの音MADありますよね。アレはこの考えを意識すると良いのかな~と思います。

他の人の動画を例に出すのも憚られるので自作動画の話にしますが、

『Fly far 蘭子』は二元論的で、『自転車解剖』は相対論的だな~と思います。

(というか自転車解剖は相対論的に作ることを明確に意識しました。)

先述の「オーバーラップ」にも色々あって、よく用いられるのが"字幕"ですよね。

状況を逐一テキストで説明すれば誰にでも分かりやすいが、人によってはどうにも説明的に見えてしまうかもしれない。一方考察の余地がある作りにすると刺激的になるが、曲解されるかもしれない。

結局どういった人に見せたいかによってこれを使い分ける必要がありそうですね。

 

二元論-多元論-相対論の図は動画のみならずその他諸々の考え方にも使えるので、頭に入れておくと良さそうです。