自転車泥棒合作2021制作後記①コンセプト設計・運営
こんにちは!芋タルトと申します。
皆様、「自転車泥棒合作2021」はもうご覧になっていただけたでしょうか。
本記事はこの一連の企画の立ち上げから運営までの後記になります。
②制作パートについてはこちら
③エンディング動画についてはこちら
立ち上げ
正直今年はやるつもり毛頭なかったのですが…。1月の「合作晒しイベント」や自分も参加した「OTOMAD TRIBUTE」を受けて合作欲が高まり、色々妄想した結果良いのを思いついたので勢いで立ち上げました。
まずやるなら「去年と違う内容にしたい」というのが第一で。去年は初主催なこともあってスタンダード(?)な形式で、これに非常に満足してて…。今年も同じようでは焼き直しにしかならないな…と思い色々考えました。
まず思いついたのが「コンセプト統一」でしたが、それも色々やられてて弱いし、何か新規性が欲しいな…と。そこから発展して、記念日もいっぱいあるし、じゃあ異なるコンセプトの3合作を作る、というのはどうか?となりました。
ただこの時点では妄想の域を出ていませんでした。正直これを思いついただけでは実行まで踏み切ってなかったと思います。
で、じゃあどんなコンセプトにしよっかと考えた時、「その3つで音MADの大部分を表せる」ような、全く違った3つにしたいと考えていました。この合作、ダメ万だけでなく音MAD表現への更なるアプローチの狙いもありますね。
まず趣味で見たかった「ボカロ」を据えました。ボカロが雰囲気を重視し、文脈を紡ぐ「解釈と再構築の合作」になるとしたら…次は「発想と大衆性の合作」になる「国民的アニメ」が良いな、と。そして、「電子(ボカロ)」→「日本(国民)」という言葉上での規模の広がりを見せるなら、最後は「地球(世界)」だなとなりました(この辺告知で汲み取って下さったの嬉しかったな)。そしてその「世界」は「混沌と挑戦の合作」になるだろうな…という確信がありました。言葉遊び的にも流れが良く、何よりコンセプトとして上手くハマってて…。更に「ダメ万」という一種の縛りがあった時、コンセプト違いによる面白さは分かりやすく表出するのではないかという確信がありました(自由素材よりも表現の比較がしやすいと思って)。
これは後の話ですが、適した人を振り分けると作者層も面白い具合に分かれて興味深いなと感じました。
こういう実験的な関心と確信の上で立ち上げました。これが1月中旬の話です。(←え!?)
企画最初期
規模に対して思いつくのが遅すぎたので、間髪入れずに始動。
まず3合作を一人で運営するのは無理というか、危険なので…それぞれに副主催を置くことで盤石にしました。3人とも本当に適役で、凄く助けられましたね…。れでぃばさんはその造詣の深さやデザイン力を特にメドレーで存分に発揮して下さったし、コサンジさんはその機転とスピードを活かしたネタ出しや制作補助、主催経験豊富なたいうおさんは全体的な運営方針の意見出しや細かい補助、という感じで…。
次いでメドレー制作者の皆さんもお呼びしました。これが1/19。
更に同じタイミングで告知の皆さんも招致。1/24にはメンバーが確定しました。
1月終わり~2月初めはメドレーを練りながら告知の地盤作りをしていきました。
メドレー
「3月初めに仮完成」という無茶スケジュールでお願いしました。お三方ともよく快諾して下さったな…。
曲の選定→構成決定→原曲繋ぎ→仮完成→本提出 という想定のもと進めていただきました。メドレー書下ろし合作を主催したことなかったので、この辺の流れもかなり助けられながら…という感じでした。それぞれ方向性も進行の仕方も違ったので、個別に書こうと思います。
ボカロ
運営が初めに想定していた選曲基準を書きます。
・「ボカロっぽいボカロ曲」
→ボカロックやEDM系でもない、ボカロ位でしか聴けないような音楽を主にしたい
・大体2017年以降の曲で
・曲の知名度よりも雰囲気重視
・既に音MADになっている曲はある程度避ける
→ロキ、ルマ、金星のダンスetc...は避けました。既存の音MADを基にするのではなく、新たな組み合わせによる解釈を見たかったためです。後述しますが乙女解剖、テレキャスタービーボーイは嬉しい誤算でした。
・ラストはステラで
→MVで自転車漕いでるので。
…という感じで提示しましたが、特に「ボカロっぽい」の部分が曖昧な感覚で…。その辺の感覚も共有できそうな方ということで、ボカロへの造詣が深く、更に展開とアレンジに長けた26Kさんをお呼びしました。
26Kさん、凄まじいスピードで数百曲リストアップしてて凄かった…。おかげで削りながら選ぶ方式が取れてありがたかったですね。
ある程度曲を絞った上で構成・原曲繋ぎ段階に入りましたが、こちらのディレクションはれでぃばさんに一任し、お二人の間で進めていただきました(主催は初見で通しで聴いた時の印象を伝える係になりました)。後でログ見せてもらったんですが練り合わせ凄かった…。
そして完成、打ち込みに入っていただきました。それ以降も色々あったのでもう書いちゃいます。
・テレキャスタービーボーイの音MADが流行り始めた
→完全に予想外でしたが、ちょうど一転盛り上がる所だったので結果的には良く作用したかなと思います(担当者のムノさん、かっぱさんは大変だったと思いますが)。
・自転車解剖のリフレイン
→49six.さんのリコレクションエンドロウルパートで乙女解剖マッシュアップ、滅茶苦茶アツかった…。後にこのパートとメドレーサムネイラストをきっかけに隠し曲が入ったらしく、音MADを受けてメドレー単品の形が変わるって現象面白!!ってなりました。
・『現代VOCALOID創造都市』
→音MADで使用したものと全然違うものが出てきて、すげー!!!って感じでした。隠し曲、歌アリ、イラスト、ロゴ、映像の要素が追加されてましたがこれら全部26Kさんれでぃばさん中心でやって貰ってて、主催は投稿までほぼ全容を知らない状態でした。本当にお任せしてよかった…。
企画の枠組みを超えて色んな層に波及していくような、素晴らしいメドレーに仕上げていただきました。
国民
選考基準はこんな感じでした。
・誰にでも通じるような、本当の「国民的アニメ」中心
・各コンテンツにつき一曲
→色んなアニメを出すため。ジブリはまとめて一枠カウントにしました
・新旧のバランスは新少なめで
→妖怪ウォッチ、君の名は、鬼滅の刃等広く知られるアニメは現代にもあるんですが、「国民的アニメ」という言葉を打ち立てた時若干の違和感が出るかも?というので削りました。
・ラストはルパン(泥棒)→コナン逮捕オチで
国民合作は「遊び心」を軸にしているので、奇想天外なアレンジと展開を作り出すメスシリンダーさんをお呼びしました。実際序盤あたりが時間枠順だったりフランダースが最終鬼畜風になってたりするのもメスシリンダーさんの発案で、大正解だったなと思います。
メドレー単品の映像は芋タルトが担当しました。各アニメのロゴが出てくるのコンセプト的にも面白いな~という感じで…。
↓『予告状』のこの部分そのままです(リモコンまで一緒にした)
↓このリモコン世界合作にまで出てきてて面白かった
誰もが楽しめて、それでいて発想に感心させられるような、素晴らしいメドレーに仕上げていただきました。
世界
・「ワールドワイド」
→エスニックミュージック、等と言うとジャンル区分が曖昧というか、面倒なので…。ざっくり各地域を網羅する感じで行きました。
・「曲調の特有性」を優先
→英ロックやクラシック、各国のポップス等が外れた理由です。地域性がより色濃く出た楽曲中心。
・飛び道具枠でアメリカ国歌
→コンギョと競ってました(情勢の話か?)
・ラストはWe Are The Worldで
→文句の付けようがなく世界。
これに加えてKa Mate(ハカ)、Citta Utsawa(ガムラン)、春の海なども後に加わり…こんな前人未到のメドレーに挑戦し得るのはもうR.M.さんしかいないだろうという感じでした(というかR.M.さん自身もこういう曲追加してて、全員正気ではないなと思いました)。無茶振りが過ぎるのにバッチリ制作していただいて、流石…。
こちらの解説でもあった通り、文化性や前提知識もすり合わせながら繋いだり全体のバランスを見たり…という感じでした。自分は全然知識がなかったので、純粋に勉強になりました。
メドレー単品も完全にR.Mさんにお任せしました!Google Earthで各国渡ってくの面白い。
まさしく世界に見せても通用するような、素晴らしいメドレーに仕上げていただきました。
…という感じでメドレー制作していただきました!お三方とも誘って本当に良かったです。
告知制作
いかんせん情報が凄まじい企画なので、これは告知したら盛り上がるぞ~というので合作形式に。音声・映像共にガッチガチのメンツで固めました。
告知のコンセプトは「アダルト」でした。既に色んな人を巻き込む予定ではあったので、大人な雰囲気でむしろ釣っていく位の勢いで…とか考えてました。
楽曲は『Fakeover』。コンセプトにマッチした曲調である上に、テーマが「怪盗」だったのでこれはもう採用するしかない…というので。
Youtube版のタイトルとサムネなんやねんと思われてる方もいるかと思いますが、実は最初ニコニコもこっちにする予定でした(釣りで告知するの面白くね?と思って、よくあるYoutube漫画動画みたいな感じにしました)。ただ参加者の皆さんにこのサムネで宣伝させるのも申し訳ないなと思って直前で変更しました。あぶね~。
音MAD制作
メドレーの構成が決まったところで、大勢に連絡しました!!100人以上に声かけたので死ぬかと思いました。
制作歴や作者層も広く、更には界隈の間口を超えて様々な人を呼びたいと思いバンバンお声かけしました。とにかく臆さないことが大事だなと、思い切りよくいきました。(時期が時期なので受験だったり就活だったりで合作参加できない方もちらほらいたり、呼ぶ予定だったのに調整の都合で呼べなかった方もいました。参加したかったのにできなかった!という方はごめんなさい!)
呼び方なんですが、基本的に「この人はここが適してそうだな」という基準で一つ合作を指定して、でも他への参加でも大丈夫ですよ!という風にお声かけしています。
パート調査は第三希望まで取りました…が特に世界が被りに被って、一部の方にお願いして調整しました。
そして制作環境ですが、計4つのDiscordサーバーに分かれ、互いの合作内容が分からない状態にしました。
上から運営/メドレー/告知サーバー、ボカロ、国民、世界です。何故この形式にしたかというと、参加者も初見で楽しめる要素があると良いなと思ってのことです。合作あるあるなんですが「参加できて楽しかったけど初見で見たかったな!」ということがよくあって、今回の形式なら参加者にも視聴者になってもらえるなと。(運営すら分けてます。)
サーバーのみならずスプレッドシートやドライブまで分ける必要があり、連絡も管理も大変でしたが…有意義な形式だったと思います。
あと流石に出される進捗にまではコメントできませんでしたが、提出には全て感想を書きました。音声提出、映像提出それぞれ1つなので(4+22+17+17)×2=120回分の感想を書いてます。滅茶苦茶大変だったけど伝えたいことでもあったし、主催の負うべき役割とも考えてるので…。やりきりました。
全員アプローチが異なってて、提出を受けるたびに興奮してました。楽しかったな。
ロゴ
3つそれぞれで作ってもらうことも考えたんですが純粋に大変なのと、共通ロゴの方が連作であることが分かりやすいだろうなというので共通ロゴにしていただきました。
ロゴ制作経験豊富かつダメ万に親しみのあるケフィアさんにお声かけしました。殆ど要望は出していませんでしたが、
告知で宝石になったり、
メドレーで地球になったり、
EDのイメージカラー(紫)と一致してたりと、多方向に変化し得るロゴとなってて凄く良かったなと思っています。
サムネイルイラスト
4/24から声かけ開始してます。あまりにも遅すぎるだろ…。
どちらもイメージピッタリの、超素敵なサムネイルを制作していただきました。最高!
自転車月間晒しイベント
5/5=自転車の日(ボカロ合作、去年合作投稿日)
5/8=万引き防止の日(国民合作投稿日)
5/18=エターナルフォースブリザード誕生の日(当日知った)
5/22=サイクリングの日(世界合作投稿日)
5/31=世界禁煙デー(一挙放送の次の日)
6/3=世界自転車デー(ED動画投稿日)
そして5月丸々が「自転車月間」ということらしく(固まりすぎだろ)、あっじゃあ晒しイベントやろうということで固まりました。
「芋タルトが声をかけた人」という範囲に限らせてしまうと勿体ないし申し訳ないなと思って…。決まった輪に留まらず、能動的に各個人が参加できるイベントだと良いなと思って立ち上げました。招待制合作と公募制合作それぞれの功罪、というのは合作を論じる上でたまに取り上げられますが、自転車月間晒しイベントのおかげで上手い具合に良いとこどりできたんじゃないかな?と思ってます。
その他
書き漏れた内容も多々あるので箇条書きします。
●ダメ万早わかりシートを作りました
こんな感じで参加者に共有してました。
●締切と投稿日
一応最初は三合作の締切を共通にしてました(一方で不測の事態が起こって投稿できなくなった時、順番を入れ替えられるようにするため)。幸いにも大きなトラブルなく進んだので、予定通りの順番で投稿しました。
5/5(自転車の日)、5/8(万引き防止の日)、5/22(サイクリングの日)が今年全部休日/祝日だったのなかなかラッキーですね。
●メドレーの投稿タイミング
去年の修造合作とそのメドレーが同時投稿されてて良いな!と思ってたので。スケジュールに無理がない限りは互いにシナジーがある方が絶対良いなと思ってて、今回3つとも同時投稿の形で行きました。音MAD用である、という以前に一つのメドレーとして尊重したい気持ちで、ある程度委ねながら進めさせていただきました。
●イメージカラー
特に告知面のために、各合作のイメージカラーを統一しています。ボカロ→青、国民→赤、世界→緑 です。ちなみに告知は橙かなと勝手に考えてます。ED(宇宙)は紫です。
来年
自分はもう主催しません。往年素材合作のように末永く続かせる、というよりは今年で華々しく花を散らすつもりで挑んでたので…。やってもらえる分には大歓迎です!
全体を通して
反省点:スタートが遅すぎる
よく成り立ったなこの企画…。ホント参加者様様です。ありがとうございました。
運営体制として良かったな、と思うのが「複数人体制」かつ「任せられる人に完全に任せた」点だと感じてます。複数人体制だと確固な分連絡確認で手間が増えることもあって、運営全員の意見を聞いてから動くようでは却って時間がかかっちゃうなと思って…。自分も決める所は一人でズバッと決定しつつ、任せる所は完全に任せるという感じで、決定権を各個人に委ねました。結果連絡も最低限で済んで効率よく回せたなと思ってます。信頼できる人たちとでなければ出来なかったなと思います。
ダメ万合作である、という以前に音MAD合作としてもかつてない内容でしたが、その分新しい境地、新しい楽しみ方を見せられたんじゃないかなと思います。一つ一つ見応えがあり、更にこの形式ならではのことも多々あって、非常に新鮮でした。
関わっていただいた皆様、ご視聴いただいた皆様、本当にありがとうございました!